行政書士は食えない?平均年収が低い?現役の行政書士がその実態について語る

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こんにちは!トマト行政書士事務所の菊地です。

根強い「行政書士は食えない」話。
どこから来ているのでしょうか。

Googleで「行政書士」って検索すると、関連する質問にこんなのが出てきます。
「行政書士 なぜ年収が低いのか?」

今まで、某掲示板でもSNS等でも散々、行政書士食えない論は炎上してきました。今やそれが当たり前かのように話されていますし、そうかと思えばある人は自分の経験をもとに「廃業した人を知ってる」、ある人は「自分は楽勝で食えてる」。
根拠らしい根拠もなしに、インターネットではみんなが大好きな極論が行ったり来たりしています。
一方、こうして私のように、子ども育てつつ仕事しつつ、平穏に事務所経営している人間もいます。
自分で言うのもなんだけど、がむしゃらに手段を選ばずガツガツやるというタイプではありません。
でもどうにか10年、行政書士事務所を経営できています。

開業当初は、正直「おそるおそる」な気持ちや迷いもありました。
あれだけ食えないって言われているんだから、本当に食えなかったらどうしよう?とか。
よほど経営能力や営業能力が無いと難しいんじゃないか?とか。
周りも反対しました。
食えないって有名だ!!等々。

今日は、行政書士食えない論について、私見をまじえて徹底的に書いていくつもりです。

目次

結論 食えないってことは無い気がする

さて、私は気が短いので、さっさと結論になりそうな資料を出します。
厚生労働省が運営しているサイトのスクリーンショットを下に掲載しました。

行政書士の年収は、令和2年国勢調査の結果によると579.8万円だそうです。

出典:行政書士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

上記がどういう数字なのか書いてありませんが、恐らく平均値でしょう。
中央値だったらそう断りを入れると思います。
大きく稼いでいる行政書士がいれば平均値は上へと大きく跳ね上がりますから、一般的な金額とは言えないかもしれませんが、それでも579.8万円
平均年齢、42歳。
「大きく稼げる」資格とはいえないものの、十分に食っていける金額ではないでしょうか。

余談ですが、上のサイトでは、都道府県を指定して数字を出したり、他士業さんを見ることもできるので、ぜひチェックしてみてください。
税理士さんで746.6万円、社会保険労務士さんで780.9万円が平均年収だそうです。

きくち

あれ?税理士さんのほうが年収高そうなのに、そうでもないの!?

これは後に続くデータをよく見ると原因が分かりました。
税理士さんは、正社員の従業員が意外と多くて、53.4%。自営・フリーランスが39.7%。
一方社会保険労務士さんは、自営・フリーランスが55.7%。正社員の従業者が32.8%。
年収の違いは、ここに原因がありそうです。
やっぱり自営業は年収高くなるからでしょう。
そして、どちらにしろ、行政書士の年収よりずっと高いのです。
行政書士は自営・フリーランス率が77.0%であることを踏まえても、「食えないというほどじゃないが稼げる資格ではない」ということがよく表れた数字だと思います。

2018年度 日本行政書士会連合会によるアンケート結果

さて、話を戻しましょう。

なぜ、「行政書士は食えない」という話が出るのか。
これ、日本行政書士会連合会が5年ごとに行っているアンケートの統計結果に大きな原因があるように私は思います。

最近だと、2018年10月号の行政書士向け会報「日本行政」に結果が出ています。
こちらのデータを公開していいものかどうかわからないから(よそのサイトで公開しているところがあるのは重々承知)、以下に概略を書きます。

  • 最多年齢層は61~70歳で35.6%、次点は71歳以上で19.9%
  • 行政書士専業が52.0%、他士業兼業が47.0%
  • 年間売上500万円未満が78.7%、次点は1000万円未満で11.3%

売上って、年収ではないのです。当たり前かもしれませんが。
売上から、家賃その他の経費を引いた残りが、収入になります。
行政書士はサービス業に分類されますので、ものすごく乱暴に考えると、半分ぐらいが経費になると思われます(簡易課税のみなし仕入れ率より)。
そうすると年収、250万円未満!?となるでしょうか。

当然、みんなが250万円じゃありません。
「未満」ですから、100万円の人だっているだろうという話になります。
これじゃ食えないということになります。

ヒントは「他士業」「高齢者」

さて、ここからは私見。
私見といっても、身の周りの他士業さんとか、同業の先生から聞いた話になります。

まず、他士業さん。
税理士さんが行政書士登録もしているケース、司法書士さんが行政書士も兼業しているケース等々があるのはご存知のとおりです。ダブルライセンス、トリプルなんていうケースもあります。
そうすると、例えば税理士さんは無試験で行政書士登録もできるのですが、そのような先生の場合、前記アンケート調査では、行政書士としての売上をゼロで出すのだそうです。
中には、まじめに他士業との売り上げをわけて書く先生もおられるとは思うけど、そもそもダブルライセンスの場合の多くは行政書士業がメインではないので、行政書士としての売上は少ないのです。

それから、高齢の先生。
彼らは長年行政書士をしてきたベテランで高齢になったケースだけではありません。
それにしては高齢の先生の数が多すぎると思いませんか?
行政書士には「特認」という制度があり、国家公務員・地方公務員として行政事務に17年以上(中卒の場合は20年以上)従事した場合、試験免除で行政書士になれるのです。

こうした先生方は、売上を追いかけず(年金があるケースが多い)、仕事を通しての社会とのつながりを楽しんだり、行政庁に居た経験を生かして行政書士会の役員になったりしておられます。
もちろん、しっかり売り上げを追いかけておられる方もいるのでしょうが、少数派ではないでしょうか。
そういう方が、意外と多いのです。

そういう方々の数字をそのまま載せているわけですから、「売上500万円未満が8割」と言われても、私なんかは「妥当でしょうね」と思います。
それを根拠に「行政書士は食えない」と言われても、そもそも行政書士として食おうとしている人が少ないというべきでしょう。

まとめ 行政書士は食えないこともないが、稼ぎにくいのは間違いない

結局統計って、その数字がどういうものなのかを調べてみないと、全然印象が違ってくるのです。
基準があいまいな統計は、嘘に加担します。

個人的な印象では、そもそも、行政書士専業でまじめに行政書士業務に励んでいる人、そんなに多くありません。
行政書士会の役員だって、他士業兼業の先生が多くいらっしゃいます。

データを見たとおり、行政書士は食えないというほどではない資格だけど、ガツガツ稼げる資格でもないと言えるでしょう。

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この記事を書いた人

きくちのアバター きくち トマト行政書士事務所 代表

新潟市在住。トマト行政書士事務所代表。
家族はおちびと犬2匹、クサガメ1匹。

1日の移動距離が30km程度までならクロスバイクで移動。
それ以上は自動車で、新潟県内外を走り回り中。

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