開業当初に買ったもの
開業時、何を買いましたか?
事務所見学などに行くと、あれもこれも必要な気がしてきます
「最低限で始めるといいよ」
とよく言われますが、最低限の最低具合がどのあたりだと良さそうか、案外難しいように思います。
「開業の時、何を買いましたか?」
開業時に買ったものは何だったのか、意外とよく聞かれます。
開業についての書籍等では、簡単に「最低限で始めましょう」なんて書かれてありますが、いざ最低限で始めてみたら慌てたとか……最低限のつもりが全然使わなかったとか、いろいろあります。
あれは買っておけば良かったとか、これはケチケチしなければ良かったとか。
なかなか最初からベストの選択は難しいです。
本記事では、行政書士開業を検討している人に向け、私が開業時に買ったものをレビューします。
実際の購入品リストに加え、その後使用した所感を記載。
既に廃盤となっているものも多いので、代替品へのリンクも掲載します。
より良い選択をするための参考になれば幸いです。
開業当初に買ったものリスト
開業当初に買ったもの、他の記事でも紹介しましたが、こんな感じです。
- 職印
- レーザープリンター
- FAX兼電話機
- 机(椅子はもらった)
- 名刺
- 封筒
- 看板
- 書棚
- 金庫
- WEBサイト
- 事務用品各種
ざっとこれで20万円程度です。
行政書士は、行政書士会への登録に費用がかかり、各都道府県会で金額に差異があるのだけど、だいたい30万円前後だと思います。
それとあわせて50万円程度、開業に使いました。
デザインの仕事をしていたこともあり、もともとPCは持っていたのでここでは割愛します。
PCは歴代、本体だけで10~30万円程度のものを使用しています。
ディスプレイとキーボードは使いまわしていて、さていくらで買ったものやら記憶にありません。
では、買ったもの一つ一つ、検証していきましょ。
職印
職印について、購入時の注意点や使用感などをまとめたからご参考に。
印材はアグニ
各都道府県行政書士会の推薦される職印を購入することもできるけど、それだと印材がツゲです。
ほぼ毎日使うものだし、もう少し丈夫な素材がいいかなと思い、オンラインで購入しました。
アグニという印材で、ツゲよりちょっと高くてちょっと丈夫らしいです。
「職印」というものは売られて無かったので、アグニ15mm角印(法人用角印)で備考欄に職印にすると書いて、印面の文字を指定して購入しました。
角印は、印鑑屋さんによって、印面がゴム印のものも売られているから要注意です。当たり前だけど、ゴム印じゃ職印にはなりません。
文字の改行位置もこちらで指定。
(ふつうのハンコ屋さんは知っているんだろうけど、念のため。)
行政書士
菊地美奈子
之印
↑こういうふうに改行してください
こんなふうに備考欄に書いた覚えがあります。
こういうふうにあれこれ注意して購入するのが面倒なら、行政書士会ご推薦のとおりに買う方が無難です。
各都道府県行政書士会によって、職印のサイズが指定されていることがあります。
例えば私の職印は15mm角サイズですが、これは新潟県行政書士会指定のサイズです。
全く指定が無く自由な場合もあります。
全国的にみると、18mmぐらいが多いでしょうか。
各行政書士会の規則等を読んでおき、かつ、行政書士会事務局へ問合せをしておきましょう。
このあたりの注意を行き届かせることが難しい人も、行政書士会ご推薦の印鑑を買った方がいいでしょう。
各都道府県行政書士会ご推薦の印鑑は、無難にしっかり使える規格のものが届きます。
オンラインで自分で注文すると、印材を自分で選べるし、行政書士会での発注よりもお安い業者を探すこともできる反面、あれこれ自分で気を付けて注文しなければなりません。当たり前ですが。
自分で発注するなら、各都道府県行政書士会の規則等を自分で確認しておく程度の注意深さは必要でしょう。
10年 問題なく使っています
さて。行政書士法施行規則第9条第2項により、行政書士は、作成した書類に、記名押印しなければなりません。
ここでいう「押印」は、もちろん、職印を押印します。
ゆえにほぼ毎日、一日複数回押し続けて10年です。
中には押印しない先生もおられると聞きますが、私なんかは比較的まじめに、申請書類へ職印押印するし、請求書にも領収書にも紙で発行するものは職印押印です。
※2023年から、請求書と領収書は原則電子発行に切り替えました。念のための補足。
そんなわけで、かなり職印をこき使っているほうだと思いますが、今のところ欠けることなく、問題は特に起こらず、相変わらずくっきりした印影を保ち中です。
職印、欠けると改印手続きが面倒だし、もうしばらく長持ちしてほしいところです。
プリンターとスキャナー
プリンターはレーザーとインクジェット複合機、両方購入しました。
スキャナーはインクジェット複合機でまかなっています。
※念のための補足。スキャナーは現在、PFUの携行用ScanSnapも併用しています。便利!
申請書類の印刷はレーザープリンター 一択
プリンターはNECのPR-L5600CというA4カラーレーザープリンターを、合同事務所の先輩行政書士から安く譲ってもらいました。
※独立開業は、合同事務所でした。事務所家賃をそこにいる人で按分して、仕事はそれぞれが独立して自分の分は自分でやるという仕組みです。
個人的には、行政庁その他、仕事で作成した申請書類、特に行政庁へ提出するものやお客様のところで長期保存しなければならないものは全て、レーザープリンター出力一択だと考えています。
インクジェットは、長期保存に向くとされるインクが開発されていっているようですが、どうしてもレーザープリンターで印刷したものに比べると、湿気(水分)でにじみやすく、退色のリスクが高いのです。
長期保存する書類なら、インクジェットではなくレーザープリンターでしょう。今のところは。
PR-L5600Cというプリンターはもう廃盤になってしまったので、代わりに今使っているレーザープリンターを挙げておきます。
ブラザー レーザープリンター HL-L3230CDW。
出力サイズはA4まで。
無線Wifi接続可能で比較的コンパクト。
ブラザーがNECより優れているところは、印刷の位置が正確なところです。
NECは左右の余白がちぐはぐでしたが、ブラザーになってから上下左右の余白がぴったり指定どおりに印刷されるし、おかげでラベル印刷のずれがとても小さくなりました。
もちろん、ズレがゼロとは言いませんが。
インクジェットはスキャンもできるA4サイズ複合機を買ったが…
この仕事はスキャナーが必要必須。
開業当初は、A4サイズのスキャナーを買おうとしたのだけど、スキャナー単体よりもインクジェット複合機が多く出回っていたこともあって、そちらを購入しました。
どちらかというと、インクジェットよりもスキャナーが目当てのつもりでした。
たまに写真を出力することもあるだろうから、そのときのためのインクジェットとしても期待していました。
……が、すぐに失敗を悟りました。
A3までスキャンできたほうがいいです。
建物の図面がA3サイズのことが多くて、非常に不便だったのです。
だから、施設が関係するような許認可をやりそうだったら、A3スキャナーがあったほうがいいでしょう。
しょうがないから、A4サイズで片面ずつスキャンし、フォトショップで結合させてA3サイズにしたりして。
結合させていることを悟られないように、すさまじく精密につなぎ合わせました。
開業当初はまだまだ仕事が少なかったこともあって、画像を必死につないでいても時間が足りたけれど、今じゃ考えられません。
その後、インクジェットプリンターとFAXが不調になったので、A3スキャナー複合機に買い換えました。
今使っているのはブラザー インクジェット複合プリンター MFC-J6983CDW。
無線Wifi接続、A3サイズまで。
手差しトレイがあって、大きな封筒も印刷できたらいいなと思っていたけれど、こちら手差し印刷はあまり得意ではないようで、断念しました。
ブラザー インクジェット複合プリンター MFC-J6983CDWのいいところは、FAX機能です。
WORDファイルやPDF等をFAX送信するのに、紙に出力する必要がありません!!
プリンターを選択する際に印刷機のFAX機能を指定して「印刷」すると、送信先番号の指定ウィンドウが開くしくみです。
これはBROTHER独占、他社はできない機能なのだそう。
9年弱経過 今のプリンター&スキャナー環境
プリンター周りは、その昔、事務所内で家電の乱が発生したことを機に、かなり整備しました。
「年度末の行政書士事務所でプリンターが使えない」
って、シャレにならない事態です。
- A4カラーレーザープリンター2機 ※うち1機は予備
- A3インクジェット複合機1機 ※インクジェットプリンタ兼FAX兼スキャナー
- 携帯用A4スキャナー1機
他、自宅にA4インクジェット複合機1機。
かなり手厚くしている状況です。
もし今開業するとして、最低限揃えるとしたら、
にすると思います。
A3スキャナーは、調べてみると分かると思うけど、単性能のものは高額です。
そこそこのものは複合機になってしまっていて、それなりのものはそれなりに高額。
複合機のほうが売れるせいでしょう。
もしスキャナーA3単性能のものをどうしても買うなら、私だったらPFUのScanSnap SV600にするけれど、開業当初はやっぱり節約したほうがいいように思います。
FAX兼電話機
これは、無理やり安い家庭用中古品を買って失敗した話。
FAX兼電話機なんて壊れないだろうと高をくくってたらエライ目に
ふつうのご家庭、特に昭和のご家庭であれば、FAX兼電話機が置いてあり、FAXは感熱紙式のもので滅多に使わず、電話機能のみ使っており……樹脂が変色しつつあるかもしれない……なんていうものが、サイドボードの上にあるんじゃないかと思うのです。
私は昭和の人間なので、FAXってそんなイメージでした。
滅多に使わないですよね、FAXって。
IT系ガジェット好きだからなおさらです。
だから、開業当初はヤフオクで安く買ったのです。
どうせそんなに使わないだろうし、そうそう壊れるものでもなかろうから、使えるものならそれでいいという考えでした。
3000円ぐらいで古いのを落札しました。
その後、年度末に突如故障したのは下のリンク先の通り…。
ここで知ったのは、家庭用FAXは案外壊れやすいのだ、ということです。
家庭内であまりFAX兼電話機が壊れないのは、ほぼ電話としてしか使っておらず、FAXの送受信はあまりしていないせいなんじゃないでしょうか。
だって、家庭用FAXをそんなにガシガシこき使った経験がある人はおられますか?
きっといないですよね。
ほとんど使わないうちに感熱紙が劣化してるご家庭がほとんどではありませんか?
FAXと電話周りのおすすめ環境
振り返ってみて、今の私が最も無駄が無さそうな開業当初の環境、つまり一人で事務所をやるんだったらこの環境にするだろうなというのは、
- 電話…電話機能単体。できればコードレス。誰かを雇用するときのために子機が増やせるタイプ。
- FAX送信…プリンター複合機を使って送信。
- FAX受信…【Message+】みたいな、モバイルFAXを契約。FAX番号を使うことができるようになる。ただ、送信は別料金のことが多いので、送信は上記のように複合機を使用。
FAXについては、廃止へ向かいつつある過渡期のように思いますので、買うべきか否か、判断が分かれるところだと思います。わざわざ買うのはもったいないけど、とはいえFAXでの連絡を希望してくる役所がいまだにあるのも事実です。
なにより、お客様がFAXと電話しか無かったりします。
「ITが苦手だから行政書士に依頼したい」
っていう人、意外と多いのです。
現在、FAXの受信も送信も、うちの事務所だと年に各5回あるか無いかぐらいです。
続きは次回!
ずいぶん長く書いてしまったので、続きはまた次回へ持ち越し!
買うもののメインは「PC」「プリンタ」「電話」「職印」だろうから、後半はざっくりスピーディーに進めます。