カネなしコネなし経験なし開業
カネなしコネなし経験なし開業になりそうで心配です。
実はかなりの行政書士がカネなしコネなし経験なし開業です。
こんにちは、トマト行政書士事務所の菊地です。
みんなカネなしコネなしだから大丈夫!
…というわけでもないけれど、実はかなりの行政書士がカネコネ経験なしでの開業。
少なくとも開業した本人たちはそう思っている人が多いんじゃないでしょうか。
そこで今日は、この「カネ・コネ・経験」問題についてちょっと考えてみましょう。
全部書いたら長くなってしまうから、今回はカネ編。
カネなし問題
カネなし…といっても、程度の問題があるってものです。
だいたい、お金なんていくらあっても「足りない足りない」って言いがちです。
「いわゆる富豪ではない」という意味の「カネなし」なのか。
それとも実際に開業資金が無いのか。
まず、行政書士は開業時に登録費がだいたい30万円前後必要です(各都道府県単位の行政書士会による)。
これは各都道府県の行政書士会に支払う金額のみで、こんな金額になります。
他に職印、PC、レーザープリンター、机、いす、応接セット、名刺……
封筒、看板、書棚、金庫、WEBサイト、事務用品各種。
やっぱり独立開業だから、ある程度のお金はかかります。
人によるって言っても、目安がいるでしょうか。
私は開業費として、だいたい50万円ぐらい使ったと思います。
前記の登録費30万円ほどを含めた金額で、このぐらいです。
他に生活費として数十万円プールしていました。
とはいえ、PCはデザイン業に使える程度のスペックのものが既にあったし、合同事務所でのスタートだったので、応接セットは他の先生がお持ちのものを使わせてもらえてラッキーでした。
私個人は、申請書のプリンターはレーザープリンター一択だと思っています。
これは諸先生方の意見によりまちまちかもしれないけれど、私は絶対に譲らない点です。
まず、書類の保管の問題があります。
行政書士が扱う書類は、役所へ提出し、お客様に控えをお渡しし、それぞれ長期間の保存に耐えなければなりません。
インクジェットの印刷は、湿気(水分)に弱いしレーザーに比較すると劣化しやすくて、長期間の保管に弱いのです。
開業当初に買ったもの
開業当初に買ったもの、何があったかなーというと…購入方法もあわせて記載。
- 職印
ネットで買ったので、行政書士会で注文するより半額ぐらい安かった。今も使用中。 - レーザープリンター
合同事務所で他の先生が余らせたものを安く買った。5,000円ぐらい。 - FAX兼電話機
けっこうすぐ壊れた…。 - 机
メルカリで安く買った。 - 名刺
自分、デザイナーなので!印刷用データは自分で作成。印刷だけ工場へ。 - 封筒
長型3号封筒は、市販の封筒を購入しレーザープリンターで刷り込み。角型2号はあまり使わないこともあって、ラベルに事務所情報を印刷して貼ってた。 - 看板
デザインデータを自分で作成し、看板工場へデータを送って印刷してもらった。 - 書棚
白いカラーボックスでA4が入るサイズのものを買ってきた。ニトリだったと思う。 - 金庫
ネットの、中古事務用品を扱うところで購入。いまだに現役。 - WEBサイト
自作。サーバーはレンタルサーバー、ドメインをいくつか取得。 - 事務用品各種
ファイルとか紙とかは買わないと。
これで、50万円程度。
かなり節約したほうだと思っているけど、どうでしょう?
行政書士の開業、どのぐらいお金が必要だろう?
実際、どの程度開業にお金が必要か…というのは、その人の家族環境にもよると思うから一概には言えません。
扶養家族が多ければ多いほど、準備しておくべき資金は多めにしておかないと。
- 開業のための資金……開業に必要なものの購入、事務所の賃貸借、WEBサイト作成など
- 軌道にのるまでの生活費……2年とか3年とか、軌道にのるまでは時間がかかるのよ、本当に
2番がけっこう多額になるのです。
私の知っている某行政書士の先生は
3年ぐらい軌道に乗らなくても大丈夫なように500万円準備した。
と、言っていました。これは実話。
確か家族構成(同居人)は奥様とお父様。
このお父様がまだ現役で会社員として働いていて収入があって、住んでいる家がお父様の持ち家だったんじゃなかったか…。
それでもこのぐらいないと、心配になるのです。
本当に、開業するときの家族環境や仕事の環境によるんだと思います。
清水の舞台から飛び降りる勢いで、長年勤めた会社を辞めて開業するような人であれば、家族を養っていかないといけないのならやっぱり3年ぐらいは軌道に乗らない前提で、準備しておく必要があるでしょうね。
開業したら、アルバイトで生活費を稼ぐのは無しかな……まぁこれも、その人それぞれで意見が割れることでしょうけど。
私は、開業したら集中してとにかく集客に努めたほうがいいと思っています。
とはいえ、お金がないならやっぱり働かないとダメ。背に腹は代えられない。
何でもかんでも、計算したとおりに行くとは限らない。
むしろ計算通りに進まないことのほうが多いでしょう。
「カネなし」の結論
お金持ちでなくてもいいけど、ある程度資金は準備しておこう。
開業のための資金だけでなく、軌道に乗るまでの生活費も必要。
お金がたまるまで待てない!!
思ったよりお金が必要そうですね…
案外お金が必要だということが分かったでしょうか。
金が無くても机さえあれば開業できる!!とか、無責任に言う人もたくさんいるみたいだから、今日はリアルな数字を出しました。
でもせっかく行政書士の資格を得たから、行政書士としてはやく働きたい!!という人は、こんな方法もあるよという提案を一つ。
※お勧めはしません。私はお金貯めてからのほうがいいと思っています。
創業融資を受ける
政策金融公庫をはじめ、各金融機関には創業融資という制度があります。
通常の融資よりも安めの金利で借りることができる制度。
行政書士として独立開業の際、この創業融資の支援を受けた人、意外とおられます。
そこでの経験をもとに、創業融資の支援を仕事にする人もいるみたいです。
業務につながる経験になるという意味でも、融資を受けてみるのも一つの方法でしょう。
創業融資は受けましたが、もともと資金は準備してあったので、結局全然使わずに返しました。
開業当初から、融資を使って投資していく度胸は無かったです。
融資を受けるということは、その返済計画によりますが、事業が軌道に乗らなくても月々返済しなければなりません。
そのあたりもふまえて考える必要があるでしょうね。
けっこうなプレッシャーになるから。
特に独立開業経験が無い人には辛いかも。
半面、一度借りてしっかり返済すれば、その分、金融機関から信用されるというメリットがあります。
つまり、この人はきちんと期日までに返済する人だ!という返済履歴が、信用されることにつながるのね。そこからさらに大きな金額を融資してもらえるようになるのが通常。
事業が軌道にのり、自己資金では足りず融資を受けて事業拡大したい!というときに、融資を受けたことがあるかどうかは大きな分かれ目になるでしょうね。
行政書士事務所に就職する
あと、使用人行政書士になるという方法があります。
ただ、これまたあんまりお勧めできないと言うか…
行政書士の世界、求人が少ないのです。
他の士業との大きな違いはここ。
それでも都市部には比較的求人が見つかりやすいかと思います。勤務条件が合うかどうかは別として。
新潟みたいな場所は、なかなか求人らしい求人が無さそうです。
求人を探すのと、開業資金をためるのと、どちらが時間がかかるか分からないっていうレベルでしょう。
今日は「金無しコネなし経験なし」開業、カネ編でした。どうぞご参考に。