自動車買うのに疲労困憊した、ある行政書士の一日

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3月、年度末。

久々に「これはぶたの日と言えるだろう」という出来事が勃発したので、記録しておく。
…1日だけの出来事ではないのだけど。

車を買いたいだけなのに、あれこれ翻弄された話。
単にトラブル連発を面白がっているだけではなくて、自分自身への自戒をこめて。

目次

ケースA:車を買いたいのに買えなかった話

話はさかのぼること昨年(2017年)の夏前頃。
そろそろ車を買い替えようかな、と思い立った。

別に車が不調なわけではない。
むしろ、よくこんなに長く好調でいるなぁと感心するぐらい。
既に10年を超過しているのに、ほとんど故障もしない。

GOLF GTIの品質が高いことと、私の運転が上手なこと(自我自賛!!)が良いのではないかと思う。

GTIに乗っている間に、子どもも生まれたし、予算にそんなに余裕は無い。
だから、同じ車に乗り続けるという選択肢は、私には無かった。
次は日本車にしたいなぁという気もあり、といって走る車がいいよなぁということで、候補は下に絞った(絞ったというわりにはたくさん…)。

  • スイフトスポーツ(旧型モデル)
  • ノート ニスモS
  • フィットRS
  • トヨタ86
  • マーチ ニスモS
  • ヴィッツRS
  • BRZ
  • シビック TYPE R

どれを買うつもりだったかは、明かさないでおく。

たまたま、うちの家族が懇意にしている営業の人がいて、そのディーラーが上記候補のうちに入っていたので、声をかけて良さそうな話があったらお願いしたいと頼んだ。
その人が言うには、秋ごろに、少し安くなるアテがあり、新古車が、年末~年明け頃にもう少し安くなるから、その頃以降に…ということだった。
そしたら、春に買おうかな、3~4月の冬タイヤを交換する前ぐらいに……

しかし、秋に突然、事情による退職の挨拶があり、後任の紹介があった。
(そしてあわせて候補車の資料もいただいた。)

今思えば、これが「ぶたの日」ならぬ一連のぶた騒動の幕開けだったのだ。
営業担当が全然知らない人になるので、私は当然不安になった。

前の営業はすごくいい人だった

もう辞めてしまった人なので、しょうがないのだが。
前任の人は、本当にいい人だったのだ。
その人だから、買うことにしたといっていい。

こんな話があった。

うちの家族が、その営業担当を通して、あるものを注文した。
後日、ディーラーへ出向いてお金を払おうとしたら、営業担当は不在にしていて別の人が受け付けてくれたのだが、「○○円ですよね?」と支払う金額を伝えながら支払おうとすると
「え?」
と言う。
明らかに<あぁ、金額間違ったんだな>という感じだったので、
「金額違うんですか?いいですよ、正しい金額払いますよ」
と言ったところ、その受け付けてくれた人は、
「いや、いいです。営業が言った金額でけっこうです」
とのことだった。

こちらは正しい金額を払うと言っていて、しかも、口頭で言っただけの金額なのに、この対応。
普通だったら、当然のようにお金を支払うことになっただろうと思うのだ。
こちらも、それで当たり前だと思っていたし。
だから、この会社はすごい社員教育をしているのだな、と我が家族はみんな感心して、すっかり<次に買うときはここで>と考えるようになっていた。

同じように車を買うなら、誠実で、約束を守ってくれるところで買いたいと思うのだ。

後任の営業担当は残念な人で…

その後、連絡は無かった。
年末。
「そろそろ来るかねぇ…」
と言いつつ年をあけたが、連絡は全然来なかった。

年明け、家族がディーラーに用事があるということで出かけていった。
そこで営業担当に
「ミナコは短気だから、早く連絡入れなさい」
と助言してくれた。
…というか、「ついでに会ったときに車の連絡を待ってること言っておいて」と、私が頼んだのだ。

それでも連絡は来なかった。

1ヶ月以上待っても来ないので、とうとう、私が連絡を入れた。
すると、
「こちらから連絡を入れないといけないなんて知りませんでした」風のご対応をいただいた。
家族から連絡入っていませんか、という問いかけにはスルー。
前任者から引継ぎありませんでしたか、という問いかけもスルー。

嘘をつく人はいやだなと思いつつ、忘れていてバツが悪かったのかもしれないしと思い直して、「ともかく急いで買いたいので連絡ください」と言って電話を切ったが、翌日1日待ったけれど連絡なし。
もう待てないのでしょうがなく、お店へ苦情を入れた。

家族の営業担当は、替わってもらった。

車が間に合わない

新しい営業担当の人に、今までの経緯を説明して、いい提案をしてもらおうとしたが、古い中古車ばかり提案してくる。
「年明けに値下がりするという話を聞いていたのだが」
と聞いてみたら、その人は、
「そこが、私も不思議に思う話でして」
と話し出した。

「かえって人気が出て、値下げどころじゃない状態でして」

私の希望するような新古車は、精度が高い生産調整を行ったので、無いのだという。
挙句、新車(ベースのみでオプションも何もついていない上に値引きもなし)の見積書を出してきて、「新車も良いんじゃないですか」とのことだった。
納車は6月。6月!?

それでは間に合わないのだ。
何のために昨年の夏から打ち合わせしていたんだ。
何が「不思議に思う話」だよ、本当に不思議でならないよ。

この流れで買いたかった車を、Aとしよう。
私はAをここで、ひとまず諦めることにした。
Aに決めたのは、懇意にしていたあの営業担当がいい人だったからだ。
適度に「走る」車ならそれで良くて、Aに決めた時点で、候補の車の試乗すらしていなかった。
試しに、Aの新古車をネットで調べてみたら、けっこう出てくる。
ディーラー系の中古車店にも、ある。
なんで今の営業担当者は、「無い」って言うんだろう?
そのディーラー系中古車店に直接連絡をいれ、見積もりをとったら、買える範囲内の金額で提示されたが……ひとまず保留にした。
これだけごたごたすると、Aにはご縁が無かったのかなと思ってしまう。
別に車はたくさんあるのだ、Aを買う義務は無い。

ケースB:取得税かかりましたっけ?

さて、ここで、候補車両全体を見直し、これらのなかでMT車を選ぶことにした。
今から新たに注文して、納車してもらうには、新車は無理。
いわゆる新古車もしくは中古車で年式の新しいもの。
ネットで検索して、電話していく。

その中で、ある車が非常に状態が良さそうだったので、某中古車店に在庫があるかどうか電話。
すると、在庫しているとのこと。
諸費用込みでの金額も、教えてもらう。
ただ、今から3月中納車だと陸送業者と手続きする行政書士を手配できない、車を運ぶのはうちのスタッフが運転していくのでよければ陸送費なしでいいが…というので、
「それなら私、日ごろ仕事でよくやっているので」

とんとん拍子に話が進み、すっかり買うつもりになった。
さて、結局こちらで手続きするから、いくら支払えばいいですか?と聞くと、なぜか当初聞いた金額の2万円引きを提示。
え?

というのも、中古車とはいえ年式が新しいので、自動車取得税だけで2万円を超えてしまう。
最低でも取得税とナンバー代、登録手数料ぐらいは引いてもらわなければ割りに合わない。

「こちらで手続きするのに、高いですね。取得税や手数料等の実費が2万円以上になりますが…」
と伝えると、
「取得税かかりましたっけ?」

あの…。
日ごろ、自動車販売している人なら、年式と金額で、少なくとも取得税がかかりそうかどうかぐらいは分かりますよね?

…と思ったが、ぐちゃぐちゃ言わずに「取得税、かかりますよ」とだけ伝えると、
「了解です また何かありましたらよろしくお願いします」

なぜか急に商談終了となった。
やりとりはメッセージでしていたのだけど、このままのやりとりだった。
こちらが手続きする分、こちらで支払う実費部分だけでいいからちゃんと引いてといったのに、気に入らなかったらしい。

…と思ったら、翌日になってメッセージが。
「取得税××円でした つきましてはお値引き○○円でいかがでしょうか」
まぁ、なんということでしょう。
その金額を昨日のうちに聞いていたら、もしかしたら注文したかもしれない。
でも、性能や金額の説明をする人が、なんで取得税の金額を知らずに、私に見積り説明していたの……??
指摘しなかったらどうなったんだ………?
疑問を残しつつ、でもまぁ、ここではいずれにしても買わないので良いことにする。

こちらがきちんと知識を持って指摘しないと対応しないだなんて、店舗として誠実とはいえない。
たまたま、実費部分は私が知っていたからいいけれど、車本体への専門知識は、こちらには無い。問題を指摘しないと対応してくれないのならば、怖くてこんな店では買えない。

ケースetc:他いろいろ

とにかく車が必要だから、いろんな車屋さんにいろんな車で連絡をとって見積もりをお願いした。
中古車は通常、値引きしない。
だから、値引き目的の見積もり依頼ではない(一応、値引きしてくれるか聞くこともあるけど期待していない)。
表示されている金額に、あれこれ上乗せされるのが通常なので、支払い総額がいくらになるかを知るための見積もり依頼だ。

誠実ではないお店が意外とあって、ちょっと驚いた。

例えば…こういう仕事(自動車手続きもする行政書士)をしているし、だいたい、見積もりをたくさんとっているので、陸送費のだいたいの目安は分かる。
どこの地方からだといくらぐらい、とか。
だいたい分かってくる。
飛びぬけて陸送費が高いお店は…その、ちょっと利益を上乗せじゃなくて、完全に「これはぼったくりでしょう」という金額を言ってくるのは、どうかと思う。
もちろん、お店によって得意不得意はあるものだと分かっているんだけれども。
「このぐらいかな」という金額の3倍とか4倍とかを提示されると、さすがに引いてしまう。
遠方の客だから、手切れ金取るってわけかな。

まぁ、結局のところ誠実なお店のほうが多いのだけど、検討しているうちに売れてしまったこともあった。
中古車はタイミングなんだな、本当に。
一番多いのは、「3月納車は間に合いません」ということだった。
これはもうしょうがない…。

結局買ったもの

結局買ったのは、FIT G・FパッケージのMT車両。

候補にあったFIT RSではない。
いわゆる「走る車」ではないんだけど、もういいかな。疲れました。

FIT RS(2017年~現行モデル) FIT G・Fパッケージ(2016年式)
最高出力 132ps(97kW)/6600rpm 100ps(73kW)/6000rpm
最高トルク 15.8kg・m(155N・m)/4600rpm 12.1kg・m(119N・m)/5000rpm
総排気量 1496cc 1317cc
車両重量 1070kg 1000kg
JC08モード燃費 19.2km/リットル 21.8km/リットル

新型スイフトスポーツで、最高出力140ps(103kW)/5,500、最高トルク23.4kg・m(230N・m)/2,500-3,500rpm、車両重量970kg。
スイフトスポーツとFITぐらいトルクが違うと、全然違う。
でも、ドッグレースするならともかく、FIT RSとFIT G・Fとのトルクの違いが大きな差につながることはあまり考えられない(最初の走り出しがちょっと違うとは思う)。
ノート ニスモsで、最高出力140ps(103kW)/6400、最高トルク16.6kg・m(163N・m)/4800、車両重量1080kg。
どうでもいいことだが、私がむかーし乗っていた初代のVitz RSは、87ps、12.3kg・mだった。重さは1t弱……なんだけど私が乗っていたのはサンルーフがついていて、Vitzにしては重かった。
でも、あれはすごく楽しい車だった。

いいじゃないか、G・Fパッケージで十分じゅうぶん。
MTなんだし、加速させたかったら2~3速で引っ張ればいいだけ。
オプションのカーテンエアバッグや、衝突軽減システムが入っている車だったし。
衝突軽減システムってどんなふうに働くのかな。
車、ぶつけたことが無いから、そもそも衝突の感覚が分からないんだけども…。
わざと壁に向かって走ればいい?
あ、でも、止まらなかったらイヤだな。どうしよう。

正直言うと、もう途中で、車買うのがイヤになった。
だから、多少自分の目標とする車でなかったとしても、一番感じのいい営業の人に決めた。

他の候補の車は、後部座席が狭くて、ジュニアシートを設置して後部に座るおちびから不評だったり…フィットRSは、良さそうなのは売れちゃったり…結局、おちびも私も満足する車を買うにはこうなった、というしだい。

今回の教訓

今回、つくづく思ったことは、モノだけを買うんじゃないということだ。

私はかなり、モノにこだわりを持つほうで、やかん一つ買うのに2年近く悩んだこともあった。
しかも、今までずーっと10年以上、いわゆる「走る車」に乗ってきた。
一昨年から…その前からかも……ずーっと、どの車を買おうかなと楽しみに考えていたけれど、このごく普通のFITが候補に挙がったことは無かった。

でも、けっこう満足している。

担当してくれた営業の人は、いかにもディーラー営業らしく、はきはき話す人で、できるできないの返事が素早かった。
提示された金額は、ちゃんとこちらの要望を反映していた。
細かい内訳をすぐに出してくれたが、変に相場より高いものは無かったし、手続きの流れについても分かりやすかった。

だから、即決したというわけだ。
振り返ると、私が浦和に住んでいた頃お世話になったネッツトヨタの営業の人は、営業らしいいい人だった。
新潟でお世話になっているワーゲンの担当者は、ドイツ風なのか理系の人なのか端正な雰囲気で、いい人だ。
今回のホンダの人も、いい人だった。
こういう人たちは、もしかすると貴重なのかもしれない。

車の性能や装備について、私が質問したことに対して、きちんと説明されるということが、こんなに貴重な経験だったとは知らなかった。

ものにお金を払うわけじゃない。
人は人にお金を払っているのだ。
「もの」そのものは、もしかしたら、けっこうどうでもいいのかもしれない。
もちろん、そのものが優れているに越したことはないんだけど、だからといって人がイイカゲンだとそっぽ向かれる。

だいたい、今この日本で売られている車が、「性能がー」だの、「デザインがー」だの言ってても、「人やものをのせて運ぶ」目的が達成できない車なんてそうそう無い。
特殊な目的の車だったら別としても…。
それに、同じ車を取り扱う販売店は、たくさんある。
「そこでなきゃいけない」ことなんて、そんなに無い。
価格だってどこもそんなに変わらない。
そしたらあとは、無理難題言ってるわけでもないのだし、こちらの要求に誠実に対応してくれるかどうかじゃないかと思うのだ…私は。
いや、付き合いとかなんとかもあるのだろうけど。
これは車の話だけじゃない。
私の仕事だってそうだ。
私でなければ絶対に無理!という仕事なんて、そうそう無い。

さてさて。
この車は乗り潰すまで乗って、そしたらきっとおちびは大きくなっているだろうから、そのとき改めて「走る車」を買おうと思う。
約10年後かな、もっと後かな。
次がきっと、私が買う最後の車になるだろうから…さて何にしようかな。
アルトワークスとか買っちゃって(先日復活したけれど10年後もまだあるのかなぁ)、ロールバー入れちゃったりして、サス交換したりしてね。
10年後、どんな車があるだろう。

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この記事を書いた人

きくちのアバター きくち トマト行政書士事務所 代表

新潟市在住。トマト行政書士事務所代表。
家族はおちびと犬2匹、クサガメ1匹。

1日の移動距離が30km程度までならクロスバイクで移動。
それ以上は自動車で、新潟県内外を走り回り中。

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