
開業希望者さんからの質問
こんにちは、きくちです。
このブログではただのシングルマザーで仕事してるきくちですが、「行政書士」という仕事をしています。

行政書士登録をしたのが2014年です。
行政書士をしていると、たまに開業希望者の方から、事務所訪問やご相談をいただきます。
私の事務所は、開業希望者等からの突撃訪問が何回かあり、退室を求めても居座ろうとするなどトラブルがありましたので、現在は事務所訪問は有料で、予約制となっております。
それで、よくある質問にちょっとずつお答えしようかなということで…とはいえ、開業希望者さんに事務所のサイトを訪問されても、事務所の事業とは関係無さそうな話ですし。
こちらのブログでお話を展開したらいいかなと思ったのでした。

「トマトのそとがわ」お問合せコーナーから質問受付ます。
ただ、サイト上でオープンにおこたえしますけど、それでよければ。
「行政書士って食えないですか?」



行政書士って食えないと聞きますが、実際どうですか?
実はこんなご相談をよく受けます。
いや、実を言うと、SNSその他やっている行政書士はたいがい聞いたことがある質問です。たぶん。
もしかしたら、SNSをやっていなくても、総会や研修会に出ると、案外…話しかけやすそうな外見してると、新人さんから聞かれるかもしれません。



勤めてる会社の上司や同僚が、行政書士は食えないからやめておけって言うんですけど…



匿名掲示板でも食えないと聞きますが…
「行政書士食えない」はものすごく有名みたいです。
ものすごく正直に実感を書くと、「資格取ればだれでも食える」という人がいたとすれば、嘘ですね。
「基本的に食えない」も、嘘ですね。
今日は食えない論について書いていこうと思います。
「ふつうにしてたら食える」
つい先月、合格道場という行政書士独学サイトのOB・OGが集まる会がありました。
私はそこの卒業生なので行ってきた…といっても都合がつかず、幹事の某先生と会っておしゃべりしてきたんですけれども。
https://www.pro.goukakudojyo.com/



これから開業したい人もいるからいろいろ説明するんです。
食えるのかなーどうなのかなーとか。
と語る某先生は、とある地方で開業して10年以上。一方、私は9年です。



ふつうに食えますよね?



そうですね、当たり前のことをすれば当たり前に食える感じです。
…という話から、経営の話とか、いろいろおしゃべりしてきました。
特別なことは無く、ふつうにしてたら食っていけるなぁというのが、私の印象です。
私だけでなく、ふつうに食えてるような先生方の印象も、そんなところだろうと思います。
ただ、例えば難関資格である弁護士さんぐらいに儲かるという印象ではないです。
ふつうにやっていたら儲かるわけじゃないけれど、ふつうに食える資格。
儲けようと思ったら、やり方次第になるでしょうか。
ふつうってけっこうハードルが高い
それじゃ廃業する人がいないかというと、たぶんたくさんいらっしゃいます。
「ふつうにやっていれば」というのを、ものすごく誤解する人が多いんです。
「ふつうにやる」というのは、必要なことを、適切にやっていくという程度の意味で、努力も何もしない、動かない、という意味ではありません。
あなたが会社員だったら、同僚を思い浮かべてみてください。
言われないと何も動かない人、いますよね?
勿論、それじゃだめです。
言われなくても、何かさっと気を効かせてくれる人、言われなくても書類を仕上げておいてくれる人、連絡報告をマメにしてくれる人。
そういう人、いますよね?
そういうふうにならないと難しい。
そういうことは、特別な努力ではありません。
そういうこと、最低限のふつうのこと、さらにちょっと気を利かせたことをやってくれる人、そういう人が「食っていける」のだと思います。
さらに儲けるとか成功するとかなるには、こんどは事業を拡大するための戦略が必要になるということです。



何かあったら報告するとか、連絡するとか。
そういうことができない人は意外と多いです。



変な話、マメに連絡よこすってだけで、アタマ一つ抜けるんじゃないかと思うんですよ。
うまく行かない人は、動かない人が多い



開業希望者でよくいるのが、全然動かない人です。
総会に行かない、行政書士会の会務しない、商工会議所に参加しない、顔を出さない。何もしなかったら、誰もあなたのこと知らないんですよ、って。
この某先生とこの話をするの、何回目だろうかというぐらい。
毎度話題になりますが、とにかく「開業希望者は動かない」です。
別にガツガツ営業活動してまわれ、というんじゃないです。
新人だったら、行政書士会の会務に参加して、同業者に顔を売っておくとか。
商工会議所とか、異業種交流会…これはみんなが仕事欲しいと思ってるので内容をよく見て参加しないとだめですが…とにかく、何かに参加してみないと。
全く動かず、営業もせず、ホームページも作らず、宣伝せず…だったらあなたのことは誰も知らないんです。
どういうことができるの?
誰も知らなかったら、依頼も来ないです。



ガツガツ売り込んで営業してまわって、それで成功するかどうかは地域柄ですか。こっちは、あんまりガツガツやられると、かえって引かれると思います。
ふんわりと何か会務に参加しておしゃべりして、うまく距離縮めていく感じがいいです。



ガツガツやってうまく行くのは、関東の都会とか、関西とか、やっぱり地域柄でしょうか。
でも、とにかく何でも動いてみる!やってみる!広告出す、チラシまく、最初は何でも次々行動して、すぐ反応が出なくてもある程度続けるのが大事。行動と継続です。
報酬統計はあてにならない…
根強い「行政書士は食えない」論、日本行政書士会が定期的に開催する年商や報酬の統計を根拠にする人もいます。
実は、日本行政書士会のアンケートによると、年商100万円未満が40%も居たというデータも…。
ただ、これにはいくつかからくりがあって、鵜呑みにはできない情報です。
まず、行政書士になるルートが3つあるのは、ご存じでしょうか。
ひとつは行政書士試験に合格する方法。
もう一つは、特認制度といって、公務員等として行政事務を17年以上(期間は学歴による)すると、試験免除で行政書士になることができます。
そんなわけで、行政書士として登録されている人には、公務員を定年退職後に年金生活をしながら、行政書士業務もすこしやるという人が一定数おられます。
年金がありますからね…
私は研修後の懇親会で、こうした「新人」行政書士の方々とおしゃべりしたことがありますが、目的は「ボケ防止」と「小遣いが稼げればいい」とおっしゃっていました。
当然、こうした方々も、アンケートには真面目に答えます。
最後の1つ。
「弁護士」「税理士」資格をお持ちの人は試験免除で行政書士登録が可能です。
他資格で試験免除のケースに限らず、例えば司法書士など他に資格をお持ちで、行政書士の試験に合格して兼務している先生方も多々おられると思います。
こうした先生方は、自分の業務と売り上げをわざわざ資格ごとに分けて数えません。
行政書士会のこうした回答はアンケートに過ぎませんので、アンケートのためにわざわざ「行政書士資格による売り上げ」だけ数えませんよね?そうした方々は、行政書士としての売上ゼロで提出する方が多いです。
こうした数字が混在していますので、「売上100万円未満 40%」というのも、そうなるよね…という感じです。
意外と少ないですよ、行政書士専業の人って。
らーめん屋さんで儲かるかどうか、質問しないよね
とどのつまり、行政書士として食えるかどうかは、やってみないと分からないという玉虫色の結論になります。
まさに玉虫色。見方や立場で結論が変わります。
ただ、既に開業して数年経っている行政書士に向かって、
「食えますか?」
って質問する人は、ちょっとセンスが悪いなと思います。
実際、開業してから今まで、行政書士という仕事で食べてきているわけですし。
そもそも、飲食店でも不動産屋でも何でもいいですが、何か起業しようというときに、そのお店へ行って、注文もせずにいきなり
「この仕事で食えますか?」
って質問する人、いますか?
こういうケースが多発するのは、行政書士ぐらいじゃないかと思うのです。
だから、「食えるかどうか」誰か行政書士にききたいと思う人は、まだきっと、開業すべき時期ではないんじゃないかと。
そんな気がします。