実践から離れたところで勉強する
4月に入ってから、仕事以外の勉強をしている。
うーん…純粋に「仕事以外の勉強」と言えるかどうかというと、微妙なところだけど。
必要に迫られて心理学の勉強をしているわけだし…
とはいえ、ここ数年、ひたすら実務に追われて、実務を遂行するのに不足している部分を補うような勉強ばかりしてきた。
あるいは、資格取得のために勉強をする、とか。
そうした勉強に比べると、今やっている大学生としての勉強は、ずいぶんかけ離れているように思う。
役立つかどうか不明な知識たち
例えば、今日は心理統計法の勉強をした。
数学科を出ているのでらくらく理解できる部分がある反面、統計と聞いただけで鳥肌が立つレベルで統計学が嫌いだったから、気分的にはつまらない。
分かることと、楽しく感じることとは別なのだ。
まぁそれはいいとして。
度数分布図なんていうものを勉強したとして、果たして、何に役立つのだろうか。
今こうして勉強している知識は、使われることがあるのだろうか。
これこそが、学校の勉強なのだなぁと思う。
勉強をする。
理論の基礎を勉強する。
しかし、あまりにもいろいろな事を知らなさ過ぎるがために、今、自分が勉強しているこ
とが何に役立つのかが分からない。
だいたい、過去に大学の数学科を卒業したのだから、当然統計学は人並みより多少勉強したと思うけれど、学校で勉強する以外に度数分布図なんていう単語を見かけた覚えが無い。
何に役立つのかが分からないけども、学校という場所ではひとまず、勉強をする。
不思議なものだなぁと思う。
何のために勉強するのだろう。
とはいえ役に立たなかったわけではない
じゃぁ、度数分布図を勉強したことは、完全なるムダだったのかというと……振り返ってみれば、そうでもない。
いや、けっこう役に立った。
度数分布図だけじゃない。
統計学の勉強は、ダイッキライだったけれど、けっこう役に立つ。
私はIT系企業で、WEBマーケティングの仕事なんかもしていたことがある。
数値化されたデータを元に、いろいろ考えるのだ。
マーケティング会社が上げてくるデータを見ながら、次のプランを考える…なんていうこともしていた。
この、マーケティング会社というのは、いろんなところがある。
たぶん統計学を知らないであろう人間がグラフを作ってくることもある。
それがもう、ひどいグラフで……誤解されるようなグラフを書いてくるわけだ。
いかにも成果が上がっているようなグラフ形状なんだけど、よくよく見ると、目盛の数値間隔が一定ではない。
あるいは、「統計に値しない」として破棄されているような外れ値のデータが、やたらとたくさんあるとか…。
仕事をしていて、数字を全く扱わない仕事というのは、無いだろう。
そうすると、たいがいは統計学の知識が役に立つ。
最低限、上に書いたような最悪なグラフを書いて、「あぁこの人は統計学を知らないのだな」「もしかして意図的に誤解させようとしているんじゃないか」と軽蔑されることがなくなる。
それから、逆の立場になってみて、受け取ったグラフをよく確認し、だまされないで済ませることができるようになる。
統計は、その統計方法を調節すれば、もっともらしいウソを作り出すことができる。
そうしたことを見破れるか否かで、仕事の出来が左右されるし、特に私のような自営業であれば、統計のウソを見破れるかどうかが死活問題につながることもあり得るというわけだ。
新しい知識を体系的に手に入れるということ
統計学を全く知らない…という状況は考えにくいので、他の勉強で考えてみる。
心理学の、人の心理への考え方を「知らなかったなぁ」ということは、あり得るだろう。
たとえば、ミルグラムの「服従実験」を勉強し、「我々の行動は、環境が強い影響を及ぼすことがあるんだな」ということを初めて知ったとする。
「今までは行動はその人の性格によるものだと思っていたが、環境の影響も強いのだなぁ」
そうすると、今までは何もかも、個人の責任を追及してしまうような考え方だった人が、考えをすこしあらためて、「何か状況のせいだったのかもしれない」とすこし考慮するようになる…かもしれない。
学校で勉強すると、知らなかったことを体系的に知るようになる。
じゃぁ、それがどんなふうに役立つかというと、はっきりと「将来こうなる」とはいえない。
でも、上に書いた心理学の実験のことだとか、あるいは統計学もそうなんだけれども、「こういう結果がある」「こういう考え方がある」と知ることで、自分自身の思考に余裕ができる。
余裕…幅ができると言い換えようか。
ひとつの物事を、いろんな視点から考えることができるようになる。
一つだけの見方で、こうに違いない!と世の中を解釈するんじゃなくて、いろいろな方向からいろいろな考え方をすることで、より楽しい人生になるんじゃないかな…と思う。
大学生活2度目が始まって10日ほど経ったわけだけど、今のところ、けっこう楽しい。
(統計学だけはどうも…なんか分からないけど胃の辺りが重くなる)