「実践が勉強」の実例…デザインと私の話

そういえばいい実例があるじゃないか

昨日、勉強は無駄なのか、実践だけでいいのだろうかということを書いたけれど、よく考えたら私自身が良い(?)実例だった。

私のことを私自身からの視点で書くので、ある意味参考にならない部分もあるだろう。第三者視点で考えると違う内容になるかもしれない。
それでもひとまず、勉強について考えるにあたっていい実例だと思うので、今日は自分語り。

パソコンが得意なだけ

あちらこちらで書いているけど、私はもともと、デザインを勉強していたわけではない。

私が大学生の頃は、ちょっと前に「Windows95」が大きなブームとなって、「これからは一家に一台、パソコンが置かれる時代だなぁ」と言われ始めたころだった。
言い換えると、パソコンが無い家が普通にあった。
パソコンに触れたことが無いという人も、たくさんいた。
大学には、Win95はあったけれど、MS-DOSとか、Win3.1もたくさんあった。

そういう時代だから、インターネットは珍しい設備だった。
検索エンジンよりも、Yahooのカテゴリに登録されたウェブサイトを見る。
「うちの会社はホームページを持った!」と言うから見てみたら、ビローンと巨大な画像が1枚ぺらりと貼られているだけ、チラシみたいに画像に文字やらあれこれ入れ込んで、でも回線速度が遅いので大きな画像はなかなか表示されない……ということもけっこうあった。

そういう時代に、パソコンのパーツを買い込んできて自作して、値段の割りに高性能なPCをくみ上げ、それなりに使いこなしていた人は、すごく珍しいというほどじゃないが、まぁまぁレアな存在だっただろう。
HTMLを書ける人はそんなに居なかったし、ホームページビルダーだのGoLiveだのDreamweaverだのは、今よりもずっと駄目なタグを生成しがちだった。

そんなわけで、私がデザインに関わり始めたのは、デザインという方面からではなくて、PCという方面からだった。

何せ、他にできる人があまり居ない時代だから、何とかなったのだ。

実践から入ったとして

こうして、実践から入ったわけだけれど、勉強しなかったかというと、けっこう勉強をした。
必要だと思ったことは勉強していった。

たとえば、某団体からの依頼でウェブサイトを作るときは、特に要望があったわけではなかったけれど、見やすい色の組み合わせに注意した。
そのために、色について書かれた本を片っ端から読んだ。
当時はあまり、分かりやすく色覚や障害について説明されたものが無かったように思う。
でもそれだけ基本的なことから読まざるを得ず、それはそれで勉強になった。
今はユニバーサルデザインという言葉が広く普及しているけれど、当時はその黎明期だったように思う…最初にUDが提唱されたのは1985年だ。
勉強しながら、サイトを作らないといけなくて、時間のやりくりが大変だったけれど、まぁまぁいい経験だったんじゃないかと思う。

WEBだけのはずが

それから月日が流れて、インターネットが普及して、どんどん進化して、スマホも出現して…という頃。
私は某インテリア系の会社に入社し、そこで大きな出来事が到来した。

WEB担当ということで入社したはずだったんだけど、入社して最初に頼まれたのは印刷物のデザイン作成だった。
面接時に「印刷物は作れません!」と堂々宣言し、採用されたはずが、これはいったい。
さらに、後に分かることだけど、同僚は美大卒。上司も美大卒。
なぜそんな中に理系のオタクが紛れ込んでしまったんだろうか。
そういう中でナゼ、私が会社の顔になるようなWEB作成だの印刷物だの作ることになるんだ…とうっすら考えたが、ぼやいている暇は無い。
「あなたならできるから」って上司に断言され、入社早々「は?」って言い返せるほど根性は据わっていない。
必死。
すごい必死。
DTPしたことないんですけど…と小さな声で言ったけど、上司からは「大丈夫だから」と言われ、とはいえDTPについて教えてもらえるわけでもない。
もう、作りながら勉強しながら作る。

何せ元PCオタクな上、デザイン会社に勤務していた経験もあるから、イラストレータの操作方法や印刷そのものの仕組み、アウトライン云々はすぐに分かる。
問題は、デザインだ。
デザインという概念そのものだ。

とにかくそのときは、それっぽいものを作った。
とても緊張感が走る締め切りが設定されていたので、問題なく仕上げ、間に合わせることが最重要だった。
その後、冷や汗をかきつつ、デザインそのものの勉強をした。
(その後、WEBの仕事のみに収束することは無く、印刷物はもちろん、商品企画、進行管理、他いろいろな経験をする羽目になった。)
本をたくさん読んだと思う。
もともと美術館へ行くのは好きで、よく行ったけれど、前にもまして色んな見方をするように心がけたし、展示されているアートだけでなくて、展示方法にも注意を払うようになった。
冷や汗をかくのは短い期間で済み、気がつけばなかなか楽しい仕事だった。

お付き合いのある外部デザイナーの方々や、芸術家の方々がたくさんいる会社で、とても有名な方ばかりだったので、そうした方とお話するときは、もう必死だった。
そちらの事務所へお伺いできる機会があれば喜んでお出かけして、どういう本を読んでいるのか、どんな仕事っぷりなのかよくよく観察した(あんまり見えなかったけど)。
ひとつ気がついたのは、そういう方々はどなたもオシャレだった。
おしゃれというのは、高そうな服を着ているという意味ではないし、奇抜なわけでもないのだが、ただ、着ている服のサイズ感がすごくよかった。
それからどなたも、にこやかで紳士的(女性も含め)だった。
打合せなどで、こちらの意見に対して、眼光が鋭くなることはあるけれど、こちらの伝えようとしている意図を理解しようと誠意をもって取り組んでいる……一緒に協力していいものを作り上げましょうという、そんな人ばかりだった。
(世の中には偉そうな態度の有名な人もたくさんいるだろうから、恐らく会社の方針で、誠意のある人ばかりとお付き合いしていたのだろう。)
ザ・プロフェッショナル。
こうした態度のとり方も含めて、とても勉強になった。

勉強をとおしてデザインについて思ったこと

勉強しながら、デザインって結局、何なんだろうと考えたわけだけれども。

デザインって、ただ、形を作って色を決めることではない。
…というふうに、私は理解している。
デザインというものを考え直すにあたって、たまたま運よくきっかけとなった会社が、「ブランド」とか「姿勢」というものをとても大切にするところだったので、デザインを認識しやすくて本当によかった。

デザインの働きはたぶん、将来こうなりたいという姿に近づくためのものだ。
イメージを売るための広告デザインであれば、「今はそうじゃない」けど「将来そういうふうに思われたい」ということで作られるわけだ。
だから、現状を把握することからデザインは始まるのだろう。
そこにたどり着くまでの道筋を考えて、それにあわせた具体的な造形を定めることもデザインだ。
…そんなふうに思っている。
言葉で書くと難しいのだけれど。

これを理解したうえでないと、なかなか、実践だけでデザインを考えるのは難しい。
最近は、パソコンも使いやすくなっているから、それっぽいものはいくらでも作れるのだろうけど、ただ作ってただ消えていくのはもったいないと思う。
私の理解しているデザインというものはもっと積み重なっていくもので、言い換えるとこれがブランディングというものにもつながっていくのだろう。
こうした考え方は結局、実践だけでは分からないままで、いろいろと本を読み、人の話を聞く中で得られたものだった。
こうした考え方なしで作ったものと、この考え方に従って作ったものを比べても、一つ比べただけでは大差なく同じに見えるかもしれない。
でも、年月を経たその先に、見えるものは違ってくるだろう。
私の場合は、必要に迫られて、勉強が実践を追いかけたようになってしまったけど、やっぱり勉強も大切なのだとつくづく思う。
ちなみに、まだ勉強が足りないと思っているので、今も勉強中。

最後に

つい先日、とあるデザイナーにお会いした。
実際に会ったのは初めてだったが、その前にほんのすこし仕事の接点があって、E-mailでのやりとりをしたことがあった。

最初のご挨拶後に開口一番おっしゃったのが、
「パソコンが得意でちょちょっとやった感じですか?」
ということだった。
何がだろうと思ったが、私のデザインしたものに対してそうお思いだったらしかった。
否定も肯定もせずにおいたら(だって元PCオタクなんだからある意味正解)、私の名刺を見つめながら、
「聞いたことないもんなぁ…」
なるほど。
新潟は狭いので、デザインに携わる人であれば全員自分が知っているはずであり、知らないということはデザイン関連の人ではない…とお考えであるらしかった。

その姿を眺めつつ思ったこと。
デザインを、「将来像に近づくためのもの」といった具合にとらえると、ヒトにとってのデザインは、言葉を発すること、姿勢、所作、服装などもこれ全てデザインなのだろう。
そしてデザインは積算するから……。
今すぐから、姿勢を正して言葉には気をつけようとわが身を振り返り、反省。

ちなみに、私のちょちょっとやった何か(笑)は一定の方々には好評で、ひっそりとご依頼が続いている。いや、ひっそりどころか、「すごくいいすごくいい」とあちらこちらで言いまくってくださるすごく熱心でありがたいお客様もいらっしゃる。
つい先日もかわいいキャラクタを作成して喜んでいただき、良かったよかった。

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