一人で抱え込んで我慢すれば偉いのか
家事は全力で手を抜くことにしている。
楽がいいと本気で思っている。
堂々と、手抜きこそ我が使命だと思っている。
前にも書いたが、ワタクシは、10分ほどの手間を省くために1日かけて工夫する人種なのだ。
だから、我が家は家具の配置ひとつ、家電ひとつ買うところから、効率と手抜きと楽を考えた。
食器はなるべく食器洗浄機で洗う。
食事のときは、逆算だ。
つまり、食器洗浄機に入る食器枚数を計算しながら食事する。
当然、食器は食器洗浄機に効率よく入れることを重視して購入。
掃除はお掃除ロボットにがんばってもらっている。
ロボットは、部屋の隅を掃除するのが苦手だけど、逆から言えば、部屋の隅だけ私が掃除すればいい。
ロボットが動きやすくするため、床にはなるべく物を置かない。
これで、家が片付くことにもなる。
服はなるべくたたまないで済むように、トップスは全てハンガーにかけたままクローゼットへ。
おちびのズボンとスカートや、パジャマの類はたたんでタンスにしまうけれど、全部をたたむのに比べれば楽だ。
衣替えもしないで済むようにしてある。
その分、元々、服を持つ枚数は少ない。
一人で抱えて我慢した偉いワタクシ説
我が家に来るたびに、我が母は大げさなため息をつく。
お掃除ロボットも食器洗浄機も、母に言わせれば「情けない」ものだそうな。
そうやって、「家事も育児も何もかも一人で抱えて我慢した偉いワタクシ」をアピールしたいんだろうな、と思って聞き流している。
この「何もかも一人で抱えるのが偉い」風潮に乗っかるの、いいかげんにやめればいいのにな、とも思う。
仕事柄、女性から、家庭内のことなどもご相談を受ける。
やっぱり、「介護も家事も育児も仕事も一人で抱えて我慢してきたが辛い、辛いのに周りが分かってくれない」っていうご相談は多い。
しかしまぁ、一人で抱えて我慢していたら、周りは分かってくれないのは、当然だ。
さらに言うと、「大変だ!大変なんだ!」と大きな声をあげ続けたとしても、それでも分かってもらえないだろう。
人間というものは、自分が経験した大変さでないと、なかなか理解できないのである。
介護も家事も育児も仕事も一人で抱えた経験が無い人に、「大変だ」って言うだけで、「辛さを分かってほしい」というのは、無理なのだ。
これらを長らく一人で抱えこんでいたのなら、他の人に「分かってほしい」「察してほしい」っていうのは絶対に無理だ。
だから、「大変っていうことを伝えるところからスタートしたらどうか」とか、「誰か分担を頼める人はいないのか」いったお話をする。
けれども、結局、人目が気になって、できないらしい。
言い換えると、大変で辛いのだけれど、「何でも人に頼んで楽している奥さん」って思われるのはイヤなのだろう。
身近に私の母のような人がいれば、「手抜き」だの「情けない!私の頃は~」だの、言われかねないしネ。
世の風潮なんて結局は自分との折り合いだ
「介護も家事も育児も仕事も一人で抱えこんで我慢した人(女性)は偉い」という風潮は根強い。
これは、「偉い」では終らない。
だからあなたもそうするべきだ、となる。
「仕事も家庭もこなす女性」「女性は一人で複数の役割をしなければならないから…」っていう言葉、よく見かけるだろう。
例えば、ちょっとしたバッグひとつとっても、「複数の役割」にふさわしいバッグ、大きくて収納性があるんだけど、外見はきちんと見えて…なんていうのがよく売られている。
現実問題として、複数の役割をこなすシーンは、多いのだろう。
「介護も家事も育児も仕事も一人で抱えこんで我慢した人は偉い」のは、確かにそうかもしれない。
でもだからといって、そうしなければならないと思い込んで、我慢するのは、なんか違うと思う。
大変で辛いのに、誰かに頼んだだけで批判されるのも、やっぱりなんか違うだろうと思う。
とはいえ、今の世の中、何をやっても批判されるものである。
妊娠して電車に乗っただけで批判される。
まして、「家事は楽こそ我が使命」などと世の風潮に真っ向反対することを言っていると、批判の数も増える。
しかし、批判をいちいち気にしていては何も動けない。
自分の中で折り合いをつけて、自分から、堂々と動くしかない。
批判されたくない!って思っていては何もできない。
順位を考える
私は堂々と楽を求める人間だけれど、別に怠け者というわけではない。
たぶん。
きっと。
……ジョギングとふとんの中でゴロゴロしてるのと、どっちかといったら、ゴロゴロしてるほうがすきだけど。
えーっと。
考えたのは、順位だ。
やらなければいけないことと、時間をかけるべき順位だ。
私はシングルマザーなので、私自身がやらなければ、家の中の状況は常時後退していく。
暴れん坊おちびとココが協力して、家の中をどんどん崩壊させていく。
やるべきことは山積みだ。
しかし時間は有限だ。
「仕事」「家事」「育児」と3つある。
さらに「家事」は「掃除」「洗濯」「料理」といったところだろうか。
これら全部を全力でやり、丁寧な暮らしを楽しむ余裕は私には無い。
であれば、重要なポイントをまず考え、順位をつけるに限る。
今のところの順位は、1.仕事 1.育児 3.料理 4.掃除 4.洗濯…だろうか。
最下位の2点は、とことん手を抜く。
ロボットに任せる。
外注も使う。
実家の人も使う。
やり方はなんでもいい。
清潔で片付いていればそれでいい。
完璧は求めない。
周りに迷惑をかけず、病気にならない程度に清潔ならそれでOK。
多少ホコリが舞っても見ないことにする。
ブリジット・ジョーンズみたいに一度履いたパンツを裏返してはくようなことはしていないけど、意外とそういう人は多いみたい(大学生の半分以上だそうな)だし、清潔に見える人だって意外と分からんものなのだ。
いいじゃないか、完璧でなくても。
私は偉い人じゃなくていい。
一方、上位2点は、そもそも手を抜くべきポイントではないと思っている。
仕事の手抜きなんて全然考えられない。
育児の手抜きも全く考えられない。
毎日必ず、本は読んであげたい。
おしゃべりもしたい。
週末はなるべく一緒に出かけたい。
大事なことに時間をかけるためには、手を抜けるポイントは全部手を抜いて、こつこつと時間を貯金する。
週末に家事をなるべくしないで済むように、平日手を抜いて、その分、週末するような家事をやる。このコツコツの繰り返しだ。
そして、3位の料理は…
なるべく手抜きはするのだけれど、さりとて私は(おちびも)まずいご飯が大嫌いなので、手抜きに限界がある。
手は抜きたいが、インスタントは食べられない。
順位は、おちびが大きくなればまた変動するだろうと思う。
常に暫定的なものだ。
それから、上は我が家の場合であって、食事の順位が下がる家だってあるだろうし、それはその人それぞれの考え方なんだから、それでいいと思う。
ただ、順位がはっきりすれば、いろいろと見えてくる。
大事なことに時間をかけるためには、楽することと手を抜くことは必要なのだ。
「何もかもを一人で抱えない偉いワタクシ」なのである。