ツバキ文具店(小川糸 著)読後レビュー

今日ご紹介する本は、かの有名な本。
ドラマにまでなった本。
ドラマ化された本を読むのは、私としては珍しいけれど、小川糸は別。

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読んだわけ

小川糸の本を読む理由は、ひとつしかない。
ほのぼのしたいからだ。

他の理由は、何があり得るだろう?

小川糸の小説は、どれもこれも、設定ができすぎていて、あからさまにフィクションである。
例えばこの、ツバキ文具店だって…こまかい設定ひとつ取っても、できすぎだ。
数年ぶりに帰ってきた実家のお隣さんは、バーバラ婦人というステキな高齢の女性で、ボーイフレンドと旅行に出かけることもあれば、主人公と朝食後のティータイムを一緒に過ごすこともある…
あり得る?
こんな生活、今までやったことある?
あなた、ご近所に、ステキな高齢のご婦人がいて、たまにお茶に招かれたり、人生訓をお話されたりするの、今までご経験あるだろうか?
そもそもご近所に、そんなにステキなご婦人を見かけたことはあるだろうか。

でも、もしかしたら。
鎌倉なら、あり得るのかもしれない。
鎌倉というところへ、行ったことはあるだろうか。
あの、古い町の雰囲気。
海も山も近くて、海からすこしはなれた細い道を歩くと、潮の香りと山の木の香りが混じるのだ。住宅街は、古い和風の屋敷もあれば、南ヨーロッパのようなステキな絵が描かれたタイルがたっぷり使われた洋館もあって、それらが緑の深い景色に入り混じっておさまる。
ところどころにある、古い神社やお寺。
観光地らしく、きちんと手入れされた庭、道。
鎌倉とはそういうステキな町だ。
だから、もしかしたら…バーバラ婦人が本当に住んでいるかも。

小川糸の小説は、できすぎた設定だ。あからさまだ。
でも、「もしかしたら」という気持ちにさせる。読み進めてみて、少しでも期待がこもったら、それはもう夢の世界への一歩目。
そこからはもう、止まらなくなる。最後まで一気に、夢の世界を突き進んでしまう。
殺伐とした現実なんて無くて、ただおだやかで、気持ちと気持ちが織りなす綾が見えるような世界。
たまに起こる波を、おだやかに乗り越えていく。
そういう世界にどっぷり浸かりたいのなら、小川糸は最高の著者だといえる。

実は…。

少し前に、NHKでドラマ10を見た。
ツバキ文具店。
本を読む前に、ドラマを見てしまった。
主人公のぽっぽちゃんが多部未華子なのはすごく合っているとおもう、原作を知らずにドラマを見たこともあって、別に配役に不満はないが。
それはいいんだけど、やはりドラマはねぇ、ちょっと…小川糸の原作だと聞いたのに、あまりに感情が乱されるようなストーリーで、どうも嫌な展開だなと思ってしまった。

以下、ネタバレになるのだけれど(だから白文字で書くので、読む方は選択して色を反転させて読んでください)。
小説ではすんなりとお手紙を作って感謝されるだけなのに、ドラマでは、1回全然ダメな手紙を書いて依頼者を怒らせ、主人公が落ち込んだあとで素晴らしい手紙を書き直す。
小説では「生命に関わるような病気ではないのだけれどちょっと気になって」手紙を依頼したのに……ドラマでは、依頼者が最後に死んでしまう。愕然とする主人公。
ドラマでは、おもじ(汚文字)の女性がそれを理由に姑からいびられ、きれいな字のカードを代書してもらうけれど、そしたら姑が主人公のもとを訪れて嫁いびりを反省する。でも小説にはそんなくだりは無い。なんで嫁いびりした姑がわざわざ代書屋を訪れるのだ、何考えてそんなことするんだ、主人公に反省した胸のうちを語ったところで意味が無いし恥の上塗りでしょうが、フィクションにフィクション重ねてどうする。
小川糸の小説は、できすぎている。でも、そうだったらいいなと思える。
もしかしたらそうなるかもしれないという夢を見て読む。
一方ドラマのほうは…できすぎた出来事の数々が、気持ちを泡立てる。はらはらする。テレビとしては気持ちが乱れたほうが、視聴率が上がるのかもしれないけれど、どうにも刺激が強すぎて苦手だわ。

そんなわけで、「こんな話は小川糸じゃない!」と勝手に腹を立てて、意気込んで本を読んでみたというわけだ。

読んだ結果

ドラマを見たときはやってみようと思わなかったが、小説を読んだときは素直に
「キラキラ」
と目を閉じて4回唱えてみた。

ガラスペン買いたいな、とも思った。
これは、本に影響されたというよりも、文房具の好きな私の悪いクセなんだけれども。

友人とのやりとりは、やっぱり手紙が一番だと思う。
小説の中では「便箋は死語」という表現があったけれど、少なくとも私の中では現役バリバリな存在で、友人とはあまりメールでやりとりしないし、LINEやFacebook等をしている人は一人も居ない。
みんな、基本的に郵便だ。
文房具を吟味し、切手をよく選んで、しっかり字をしたためて出す。
コミュニケーションは、ただ、「情報」やりとりすればいいというものじゃないと思う。
そこに書かれた内容だけが大切なわけじゃない。
紙や字面も、大切なのだ。

私が書くにしては、女性らしすぎる気がして、結語にかしこなんて書いたことは無いのだけれど、そろそろ「かしこ」って書いてみてもいいような気がしてきた。
あらあらかしこ、とか。
どなたに書こうか。
いつも、仕事の請求書には、たいがいはビジネスレターをつけるのだけど、親しいお客様には一筆箋をつけている。でもそうだな、今度ふつうの便箋に季節のご挨拶でも書いて、あらあらかしこなんて書いてみようかな。誰がいいかな。

小説は、やっぱり、小川糸だった。
夢見た挙句に、少しだけ夢の雰囲気に近づきたくなって、あれこれしてみたくなる。
無駄に気持ちを乱されることもなく…といったらドラマの脚本家の方に悪いけれど…穏やかに淡々と、すこし気持ちが詰まりながら、読むことができた。
秋の夜長のスタートにはちょうどいい本。

あらあらかしこ

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